インドネシアの新たな刑法典が施行される中で、現地企業と外国企業は、変化に追い付くか、代償を払うかの瀬戸際に立たされています。Bimal Mirwaniがレポートします。
2026年の幕開けは、インドネシアにとって転換点となりました。1月2日、同国は刑法(KUHP)に関する2023年法律第1号、刑事訴訟法(KUHAP)に関する2025年法律第20号、刑事制裁の調和に関する2026年法律第1号から成る、包括的な刑事法の枠組みを公布しました。
これらの法律は施行からまだ数カ月しか経っていないものの、東南アジア最大の経済圏で事業を行う企業内弁護士や経営幹部にとって、そのメッセージは明確です。インドネシアの新たな刑事法体系は単なる法改正ではなく、今後数年にわたって、企業のリスク、法執行の在り方、コンプライアンスに対する期待を再定義しようと試みる抜本的な変革です。
ジャカルタのインドネシア企業内弁護士協会(ICCA)の副会長であるRandi Ikhlas Sardoni氏は、この改革の意義について、これらが「より統合的で、近代化された、法執行を重視する法制度への根本的な転換」を示すものだと語ります。
改革の内容
内容面では、刑法は企業の刑事責任の概念を大幅に拡大し、明確化しています。適用範囲は企業体にとどまらず、実質的所有者、取締役、コミッショナー、実効的な支配を行使する個人にまで及び、さらにコンサルタントなどの外部の関連当事者にも及ぶ可能性があります。
ジャカルタのHogan Lovells Dewi Negara Fachri & Partners(Hogan Lovells DNFP)のオフィス・マネージング・パートナーであるChalid Heyder氏は、企業の責任は直接の不正行為だけでなく、「不十分な監督、脆弱な内部統制、または不正行為の防止または対応の失敗」からも生じ得ると指摘しています。
刑法は2026年法律第1号によって補強されています。同法は、従来の断片的で一貫性を欠く制度に対して、多数の分野別の法律にまたがる刑事規定を刑法の枠組みに整合させることで対処しています。同法はまた、法執行の範囲を拡大し、刑罰を標準化して、より一貫性と公平性を促進します。
手続面では、刑事訴訟法が捜査、証拠、起訴に関する手続きを規律する、より体系的で近代的な枠組みを確立しています。主要な変化には、訴追猶予合意(DPA)といった仕組みの導入が含まれます。また、修復的司法にもより大きな重点が置かれ、これは特定の犯罪に限定され、手続きを進めるには被害者と被告人の双方の同意が必要です。刑事訴訟法はまた、手続上の保障を明文化しつつ、法執行の柔軟性を高めています。
ビジネスへの影響

企業はすでにリスクの及ぶ範囲の見直しを進めており、多くが既存の手続きに調整が必要かどうかについて、徹底的なレビューに取り組んでいます。「重要な法改正への通常のアプローチと同様に、法務・コンプライアンス部門が新法を評価し、それが事業に対して直接的な、重大な、または差し迫ったリスクをもたらすかどうかを慎重に検討します。もしそうであれば、対応項目のロードマップを前倒しさせることにつながる可能性があります」と、ジャカルタのRoche Indonesiaで法務・コンプライアンス責任者を務めるWidia Hutagaol氏は語ります。
同氏とSardoni氏は、業務プロセスや内部規程のギャップへの対応など、企業にとっての優先事項をいくつか指摘しています。Sardoni氏は、「シナリオに基づくテストとシミュレーション」の必要性があるとし、企業が「模擬訓練を実施」して、「手続き面での備えと、プレッシャー下での意思決定の双方を検証する」ことを奨励しています。
同氏は「部門横断的な導入」の重要性も指摘し、「規程が採用されるだけでなく、日々の業務慣行に効果的に定着するよう」、法務・コンプライアンスチームは人事、業務部門、経営陣と緊密に連携する必要があると指摘しています。
この課題は、多国籍企業にとってさらに顕著です。「多国籍企業はより成熟したコンプライアンスの枠組みを備えていることが多く、同時により厳しい監視にさらされ、評判リスクに対する許容度も低いのです」とHutagaol氏は語ります。
Sardoni氏は、外国企業は「現地企業に比べて、より複雑な影響」に直面し得ると指摘します。主な懸念事項としては、新たな法環境に適応するための現地化の課題、規制当局、メディア、ステークホルダーからの評判リスクにさらされること、インドネシア事業を監督する外国人取締役や取締役以外の幹部に対する個人責任リスクの増加、そして現地のコンプライアンス担当者の任命や、現地の弁護士や規制当局との連携を強化する必要性などが挙げられます。
ジャカルタのDeHeng ARKOのマネージング・パートナーであるMichel Rako氏は、外国企業はまた、「言語の壁、法文化の違い、現地パートナーや経営陣への依存」によって妨げられる可能性があり、「それがコンプライアンス上のギャップへの脆弱性を高め得る」と言います。
Heyder氏は、インドネシア国外の経営陣は、「現地経営陣からの保証のみに依拠するのではなく、コンプライアンス、リスク低減、是正措置に対して実質的な関与を示すことが期待される可能性があります」と助言します。
法執行上のリスクの観点から、Sardoni氏は、企業は「捜査中の一層厳しい監視や、捜索、差押え、調査に関するより明確なプロトコル、そして手続面での備えに対する期待の高まり」を想定すべき状況において、先手を打ったアプローチの必要性を指摘しています。
Heyder氏は、代理人、仲介者、コンサルタント、ベンダーの活用といった第三者を介した行為も、一層大きな注目を集める可能性が高いと言います。「執行当局の関心は、『誰が何をしたか』よりも、なぜ組織がそれを許容したのかに向かう可能性があります」
こうした動向は、明確に定義された意思決定権限、内部調査や内部通報の仕組み、証拠の準備体制、そして強制捜査、捜索、差押え、情報提供の要請への対応準備などの必要性を、より一層浮き彫りにしています。
新しい刑事法の枠組みの下での重要な動向は、企業の刑事責任の拡大です。ジャカルタのRBP AsiaのパートナーであるR Bayu Perdana氏は、責任が「違反の防止や、十分なコンプライアンス統制の確保を怠ること」にまで及ぶようになり、これは「従来は行政上のものとして扱われていた規制違反が、刑事上のリスクに発展し得る」ことを意味すると言います。
この転換は、一層厳しい制裁によってさらに深刻化しています。Rako氏が警告するように、制裁は罰金をはるかに超えて広がり、「企業は、営業許可の取り消し、事業停止または閉鎖、資産の没収、さらには解散といった重大な影響に直面する可能性があります」。
幅広い企業が適応する必要がある一方で、特定の産業はより厳しい監視に直面します。規制の厳しい産業、特に天然資源、石油・ガス、そして国家資金の使用を伴う事業は、最も大きなリスクにさらされると想定されます。
Rako氏によれば、インドネシアがこれらの産業に経済的に依存していることを踏まえると、それらの産業で事業を行う企業は、「特に環境被害、ライセンス遵守、報告義務に関して、刑事執行の対象となるリスクがより高まります」。
Perdana氏は、検察庁が、特に「インドネシア人口の大部分の生計に実質的に影響を及ぼす行為」に関して、鉱業、環境、石油・ガス企業に焦点を当てる可能性が高いと言います。
コンプライアンスに対する期待は、根本的に塗り替えられています。「コンプライアンスはもはや、形式主義的なものや、書類整備に終始する取り組みとして扱うことはできません」とSardoni氏は述べ、その代わりに「能動的な第二の防衛線」として機能しなければならないとしています。

「インドネシアで事業を行う企業は、包括的で、先手を打った、統合されたコンプライアンス枠組みを採用しなければなりません」と同氏は付け加えます。実際、リスクに基づく統制の組み込み、内部調査の強化、そして執行がさらに体系化される環境下での証拠の準備体制の確保が求められます。
汚職の根絶
インドネシアの刑法制度改革の際立った特徴は、汚職への重点がいっそう強化された点であり、特に企業関係者が国家権力と関わる場面において顕著です。

この重点的な姿勢は、長年にわたる構造的リスクと、執行当局間の新たな連携強化の双方を反映しています。Rako氏は「汚職に関連する行為および権限濫用は、特に企業関係者が直接的または間接的に関与している場合には、引き続き主要な焦点となります」と語ります。
今回の改革によって、企業が直接の不正行為だけでなく、汚職のエコシステムにおいて能動的であるか受動的であるかを問わず、果たす役割についても責任を問われる規制環境が強化されています。ジャカルタのPT Amerta Indah Otsukaでコーポレートアフェアーズ・法務ディレクターを務めるTri Junanto Wicaksono氏は、「国有企業は、事業倫理、反汚職、公正競争に関する書面による規程を整備・維持しなければなりません」と語ります。「民間企業にも、ベストプラクティスとして、またリスク低減の観点から、同様の基準を採用することが期待されています」
Perdana氏によれば、執行当局は汚職関連活動の追及において、より緊密に連携することが期待されます。同氏は「汚職撲滅委員会(KPK)とインドネシア国家警察の汚職犯罪局(Kortas Tipidkor)が、資産回収に強く注力し続けることで検察庁と執行の優先順位を整合させて、同様のアプローチをとることが期待されます」と語ります。
これは、より連携の取れた執行戦略を示唆するものであり、不正利得の吐き出し(disgorgement/裁判所による不正利得の返還命令)が主要な目的として浮上しています。
国家との関わりが著しい業界で事業を展開する企業は、特にリスクにさらされやすい状況にあります。Perdana氏は「金融、石油・ガス、環境、鉱業分野などの規制の厳しい産業における企業活動や、政府との関わりが著しい活動は、現在、特に厳しい監視にさらされる可能性が最も高いです」と語ります。
規制当局の裁量や政府の意思決定が決定的な役割を果たすライセンス、コンセッション、公的調達などの領域は、とりわけ贈賄、権限濫用、不法な影響力行使に関する監視にさらされやすい領域です。
汚職への注目が高まっている背景には、問題の深刻さがあります。Perdana氏は「インドネシアは依然として重大な汚職リスクに直面しており、腐敗認識指数で182カ国中109位という順位が示すとおり、ベトナム、マレーシア、東ティモールといった域内の比較対象国を大きく下回っています」と語ります。したがって、今回の刑法改革は、法執行上のギャップを埋め、制度への信頼性を高める幅広い取り組みの一環と見ることができます。
企業内弁護士やコンプライアンス責任者にとって、その意味するところは明確です。法執行が一層連携を取り、的を絞り、成果重視のものになるにつれて、汚職防止の枠組みは強固で、業務に組み込まれ、かつ慎重に設計されたものでなければなりません。
法執行における課題
刑法、刑事訴訟法、2026年法律第1号に基づくインドネシアの新たな刑法の枠組みは、より高い説明責任をもたらすことを約束するものですが、その実効性は最終的に法執行にかかっており、依然として根深い課題が残ります。
Rako氏は、新たな仕組みは「長期にわたる法的手続に代わる実務的な選択肢を提供する」ために導入されたと語りますが、これらの手続き上のイノベーションには固有のリスクも伴います。
代替となる解決手段は、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの枠組みを強化する可能性がある一方で、Rako氏は「十分な保護措置が講じられない場合、恐喝や汚職といった不正利用されやすくなるおそれもあります」と注意を促します。
技術的な実施、たとえば返還や資産回収の算定方法についても疑問が残ります。Perdana氏は「公平性と法的安定性を確保するため、企業が政府の算定に異議を申し立て、または検証できる明確な書面による仕組みが必要です」と語ります。
制度間の整合性と法執行の一貫性も、主要な懸念事項となりつつあります。Rako氏は「法執行の観点からみた主要な課題の一つは、法執行機関、警察、検察、司法の間でいかに一貫性と連携を確保するかという点にあります」と言います。
同氏は、新たな法制度への移行により、「特に初期段階では解釈や適用にばらつき」が生じることが予想され、予測可能性や公平な法執行への懸念が生じるとしています。

こうしたリスクは、能力面の制約によってさらに深刻化します。Perdana氏は「当局にとっての主要な課題は、法執行を改革の趣旨に沿ったものとすることです」と語り、そのためには「法律の条文と実務における運用の間にギャップが生じないよう、十分な資源と、高い廉潔性が認められた人員」が必要だとしています。さらに当局には、複雑な企業活動を調査するための技術的な専門性も求められるといいます。
企業にとって、法執行に関する不確実性はすでに問題となりつつあります。Perdana氏は「コンプライアンスはもはや行政上の届け出にとどまりません。行政上のリスクと刑事上のリスクにさらされやすい境界が曖昧になっている」ことが、リスク評価を複雑にしていると言います。
同時に、同氏は、特に地元企業にとって調整には時間を要する可能性があることも認めています。「多くの地元企業は、迅速に対応するために必要な内部システムや専門知識、経営資源を欠いている可能性があります」と語り、一方で、複数の企業が「改革が実務においてどのように適用されるかを理解する」ための時間が必要としているとしています。
標的となるのは国内企業だけではなく、外国企業には一層複雑さが増す可能性があります。Rako氏は、「外国企業は、より厳格な規制上の監視の対象になることが多く、また、複数の法域にまたがって事業を行うという複雑さゆえに、さらに大きな法執行リスクにさらされる可能性があります」と語ります。

外国企業の活動、とりわけ国境を越える活動は、より厳格な監視の対象となります。Wicaksono氏は「外国企業グループはクロスボーダー取引に関して、高まるリスクにさらされています」と語り、「合併、買収、リストラクチャリングに伴うリスクは法域の境界を越えて持続する可能性があり、より厳格なデューディリジェンスと、取引後のコンプライアンス統合が求められます」としています。
Perdana氏は、外国企業が直面し得る主な懸念は「文書化された法規範とインドネシアにおける実際の法執行とのギャップ、特にその実施の一貫性、予測可能性、廉潔性にあります」と言います。この点に関して、国内外の利害関係者は共通の懸念を抱いています。同氏は「クライアントは、明確性、一貫性、そして効果的な実施の重要性を訴えています」と語ります。
Heyder氏は、クライアントが「DPA、司法取引型の仕組み、資産に影響を及ぼす拡大された暫定措置といった新たなツールがどのように運用されるのかを、強い関心を持って把握しようとしています」とも述べています。

同氏は、導入初期の問題をすべての関係当事者がどのように乗り越えるかが、法改革全体の成功に影響するとしています。「規制当局と企業はともに、いまだ習熟の過程にあります。これらの課題に実務においてどのように対処するかが、インドネシアの新たな刑法枠組みの信頼性と有効性を大きく左右するでしょう」と語ります。
新たな時代の到来
インドネシアはすでに刑法改革の新たな時代に突入しています。刑法、刑事訴訟法、2026年法律第1号は今後も継続して適用されますが、その最終的な実効性は、企業がどれだけ迅速に適応するか、改革が汚職対策として機能するか、そして初期の運用上の課題にどう対処するかに懸かっています。
Rako氏とHeyder氏はいずれも、当面の法執行の優先事項について確たる結論を出すには時期尚早だと述べています。それでもRako氏は、「多くのクライアントはこれらの法律の近代化を歓迎しており」、それが「インドネシアの法的枠組みを、進化しつつある国際基準に整合させるための一歩と見なしている」と語ります。企業も、新たな体制に業務を合わせる動きを進めており、Heyder氏はこの変化について、「刑法上のリスクが、インドネシアにおける日々の業務上の意思決定に、いまや確実に組み込まれたという広範な認識」を反映していると、適切に結論づけています。




















