コーポレートガバナンスは、コンプライアンスの枠を超え、説明責任、サステナビリティおよび長期的価値を包含してさらなる進化を遂げています。

 

外資系企業におけるインドのコーポレート・ガバナンス

インドで事業を行う企業にとって、コーポレート・ガバナンスは引き続き中心的なテーマです。主要なテクノロジー・プラットフォームにおけるガバナンスや内部統制上の懸念、多国籍企業の地方拠点におけるコンプライアンスの不備、大手銀行の独立取締役が提起した懸念など、注目度の高い事案が相次ぎ、世論および規制当局の監視が続いています。

ガバナンス不全の帰結は、法的リスクにとどまらず、投資家の信頼や長期的な企業価値に影響する財務面、業務面および評判面の問題にも及びます。コーポレート・ガバナンスは、もはや単なる手続的義務として捉えられていません。説明責任、リスク管理、透明性、および実効的な監督のための、より広範な枠組みを構成するものとなっています。

この背景のもと、インド特有の規制環境と進化するコンプライアンス要件を踏まえると、同国のコーポレート・ガバナンスの状況を適切に把握し運用することは、依然として難しいものです。特に、インドで子会社を通じて事業を行う外資系企業には難易度が高いものだといえます。インドで持続可能な強靭なガバナンス体制を構築するためには、これらの実務上の留意点を理解することが重要となります。

インドのコーポレート・ガバナンス規制枠組み

Rupinder Malik
Rupinder Malik
パートナー
JSA Advocates & Solicitors
Email: rupinder.malik@jsalaw.com

2013年会社法(Companies Act, 2013)は、対応する規則および適用される実務規範とあわせて、インドのコーポレート・ガバナンス枠組みの中核を構成します。同法は、会社の設立、管理および運営を規律し、取締役会の構成、権限および義務、株主の権利、開示、監査ならびに財務記録の管理に関する要件を定めています。

また、上場会社はインド証券取引委員会(SEBI)による規制を受け、特に2015年SEBI規則(上場義務および開示要件)によって、強化されたガバナンス要件が課されています。これらの要件は、上場する外国親会社の非上場子会社に対しても、近年ますます重要性を増しています。

さらに、外資が入る会社は、インド準備銀行の規制の下にある1999年外国為替管理法の規定にも従う必要があります。事業内容によっては、保険会社に対するインド保険規制開発庁(IRDAI)規則など、業種別の規制枠組みの適用を受ける場合もあります。

これらの法令は、適用される労働法、環境法および運用関連法令などとあわせて、会社法で定められる要件を上回るガバナンス上の義務を課すものです。

会社法は、取締役会を企業の意思決定の中心に位置付けています。そのため各会社は、法定の最低取締役数(非公開会社は2名)を置かなければならず、少なくとも1名は居住要件を満たす必要があります。また、一定の会社は少なくとも1名の女性取締役を選任しなければなりません。取締役会は毎年少なくとも4回開催し、連続する会議の間隔は120日を超えてはなりません。

取締役会は、財務諸表の承認、取締役報告書の作成、適用される法令要件への遵守確保など、さまざまな機能について連帯して責任を負います。

Divyaanshi Chandra
Divyaanshi Chandra
プリンシパル・アソシエイト
JSA Advocates & Solicitors
Email:
divyaanshi.chandra@jsalaw.com

取締役は、個別の法定義務および受託者的義務も負います。取締役は、会計年度中に少なくとも1回は取締役会に出席することが求められ、これを満たさない場合には、その地位が欠員となる可能性があります。会社法は、取締役に対し、善意で会社の最善の利益のために行動すること、相当な注意、技能および勤勉性をもって職務を遂行すること、ならびに利益相反を回避することを求める受託者的義務を定めています。

会社法はさらに、「違反責任を負う役員」(officer in default)の概念を取り入れ、責任の判断、および帰属を定めています。通常、執行取締役(すなわち、会社の日常的な経営に関与する取締役)およびCEO、CFO、マネージング・ディレクターなどの主要経営陣が、違反責任を負う役員とみなされます。非執行取締役および独立取締役は、限定的な状況において責任を問われる可能性があります。具体的には、違反が本人の認識、同意、または相当の注意をもって行動しなかったことにより発生した場合などです。

ガバナンス枠組みには、株主による監督を通じた牽制機能も組み込まれています。定款の目的条項の変更、授権資本の増加、所定の閾値を超える関連当事者取引(RPT)など、一定の重要事項については株主の承認が必要です。RPTの枠組みは最も厳しく注視される分野の一つであり、外資系企業において特に慎重な対応が求められます。加えて、国家会社法審判所(NCLT)は、少数株主に対し、抑圧行為、経営不適切、および集団訴訟に関する法定救済を提供しており、少数株主に実効的な救済手段を与えています。

透明性、説明責任および強固な内部統制を促進するため、会社法は、会社の状況を真実かつ公正に表示する帳簿、および財務諸表の維持、一定の会社に対する監査委員会やCSR委員会などの委員会設置、ならびに規制当局への定期的な報告を求める枠組みを定めています。

法定監査人は、このガバナンス枠組みの中で重要な役割を担い、会社の状況を独立して精査することが求められます。また監査人は、会社、その役員または従業員により行われたと疑われる不正を発見した場合、金額に応じて、社内または中央政府に対して報告する法定義務も負います。

課題と対応策

インドのコーポレート・ガバナンスの状況は複雑であるため、外国投資家は、コンプライアンスを確保するにあたり、構造面および運用面の課題に直面することが少なくありません。主要なガバナンス上の課題と、それに対応するための実務的な指針を以下で説明します。

インドのコンプライアンス環境を過小評価すること。インドは、本来コンプライアンス負担が大きく、中央および州レベルの複数の法律と規制当局にまたがる義務が課されます。たとえば会社法では、平均して毎月の法定届出が求められます。労働法や間接税法も同様の要件を課しています。日常的なグループ内取引(貸付、保証、投資)であっても、承認、開示または報告が必要となる場合があります。そのため、会社は継続的に発生するコンプライアンス義務のサイクルを監視し、管理する必要があります。

さらに、頻繁な規制変更によって状況は一層複雑になります。会社法は2013年の制定以降、複数回の改正が行われており、現在も定期的に改正されています。これに基づく規則も頻繁に見直され、企業省が発出する通達や通知が、コンプライアンス上の要件をさらに積み重ねています。外国投資家は、こうした変更に追随し、現地事業への影響を評価することが難しいと感じることが多いです。

画一的な対応。多国籍企業グループは、コンプライアンス基準の一貫性を確保するため、グローバルなガバナンス枠組みを各子会社に適用することが少なくありません。しかし、インドにおいて画一的な対応が有効とは限りません。同国特有の法規制環境を踏まえると、グローバル方針は、法的観点と実務的観点の双方から、現地化または補完が必要になります。

たとえば、グローバルな倫理規程が、贈答や接待に関する金額基準を、インド法や一般的な市場慣行よりも高く設定している場合があります。同様に、公務員の定義はインドの汚職防止法制ではより広く、公共的職務を担う民間部門の人員にも及ぶ可能性があります。

また、遠くにある本社による中央集権的な意思決定は、コンプライアンス文化が十分に成熟していない中小都市で事業を行う場合、現地の運用や新たなリスクについての可視性が不十分となる結果を招き得ます。

取締役の義務およびリスクの見誤り。外国投資家は、特に非居住者がインド会社の取締役に就任する場合、取締役として負う義務、責任および潜在的な責任リスクの範囲を過小評価しがちです。現地チームが日々の運営を担っていたとしても、取締役は、前述の各種の法定責任および受託者責任を負う義務があります。状況によっては、会社の違反に関して、特に取締役が十分な注意を尽くさなかった場合に、取締役が責任を問われる可能性があります。

これに関連する実務上の留意点として、会社の取締役・役員を対象とするグローバルなD&O保険が、インドの法定制裁金を十分にカバーしない場合があります。インドの法定制裁金の多くは準刑事的性質を有するためです。会社は、インドにおけるリスクに照らしてD&O補償内容を具体的に確認するべきです。

さらに、開示に関する実務上の留意点もあります。取締役は、各種の会社・規制目的のため(例:居住住所、連絡先電話番号、他の事業体における利害関係)に情報提供を求められ、一定の情報は少額の手数料で公に閲覧可能となり得ます。2018年会社法(実質的支配者規則)も、多層的な外国持株構造について複雑な申告義務を課しています。外国人取締役や投資家は、こうした開示要件の広範さに驚くことが多いです。

インドのコーポレート・ガバナンス枠組みは複雑に見えるかもしれませんが、課題の多くは、予防的な計画と現地での関与によって効果的に管理できます。主な施策は、(1)当初段階で包括的な規制マッピングを実施し、会社の業種、構造および投資ルートに固有の適用法令、規制当局および届出義務を特定すること、(2)グローバルなガバナンス方針をインド法に整合させるよう現地化すること、(3)担当者とエスカレーション期限を明確にしたコンプライアンス・カレンダーを設定すること、(4)インド法上の義務および個人責任リスクに関する取締役会レベルの定期研修を実施すること、(5)実効的な内部通報およびホイッスルブローアー制度を整備すること、などです。

同様に重要なのは、経験豊富な現地弁護士を早期に起用することです。特に、会社設立、対内直接投資のストラクチャリング、および規制業種への展開の局面では、インドの法的要件を踏まえてガバナンス枠組みが設計されるよう確保する必要があります。定期的なガバナンス監査および秘書役監査(一定の会社では義務付けられています)は、コンプライアンス上の不備を予防的に特定し、是正するのに役立ちます。

インドにおける外資系会社にとって、強固なガバナンスはもはや単なるコンプライアンス要件ではなく、持続的成長を支え、取締役レベルの責任リスクから守り、ステークホルダーの信頼を維持し、長期的な価値創出を後押しする戦略的な必須要素となっているのです。

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2026年の主要な変更点:日本のコーポレートガバナンス改革

日本におけるコーポレートガバナンスの出発点は会社法であり、企業の組織および経営を規律する基本法です。しかし、上場会社については、金融商品取引法や各証券取引所の諸規則、特に東京証券取引所(TSE)が策定したコーポレートガバナンスの指針にも規制の枠組みが及びます。

この指針はソフトローの一形態であり、法的拘束力はありませんが、日本の上場会社のコーポレートガバナンスのあり方を形作るうえで、極めて影響力のあるベンチマークとなっています。

これは、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守せよ、さもなくば説明せよ)」の枠組みによって運用されており、上場会社は、指針の各原則を実施するか、実施しない場合には、その逸脱について説明することが求められます。

コーポレートガバナンスの指針は2015年に導入され、その後2018年、および2021年に改訂されました。2026年7月21日、金融庁とTSEは、最新の改訂版となるコーポレートガバナンスの指針を確定し、公表しました。これは5年ぶりの更新となります。

本稿では、日本のコーポレートガバナンスにおける最近の動向を検討し、特に2026年改訂のコーポレートガバナンスの指針における主要な変更点に焦点を当てます。

TSEが資本コストを重視

Yusaku Akasaki
赤崎雄作
パートナー
Chuo Sogo
大阪
Tel: +81 6 6676 8834
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TSEは2023年に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、上場会社に対して、資本コスト、資本収益性、および市場評価の観点から事業パフォーマンスを分析するように求めました。その分析に基づいて、会社には明確な開示をおこない、投資家と対話を行うことが促されました。

4月28日、TSEは「資本コストや株価を意識した経営」に関するアップデートを公表しました。そこでは、上場会社は、ステークホルダーに対してどのように経営資源を配分するかに関する方針を説明し、マーケットとの対話に取り組むべきであることが強調されています。

これらの取組みは、内部留保の積み上がり、低収益事業の温存、資本効率の低さ、無形資産への投資不足など、日本企業に対する持っている従来の懸念を反映しています。

PBR(株価純資産倍率)およびROE(自己資本利益率)に対する意識の高まりは、測定可能な改善にもつながっています。2022年7月と2026年3月を比較すると、上場会社のPBRおよびROEは上昇傾向にあります。もっとも、資本効率と市場評価は全体として改善しているものの、依然として他国の企業に後れを取っていることは確かです。

このような背景のもと、2026年に改訂されたコーポレートガバナンスの指針は、取締役会が、事業戦略および事業計画を策定し開示するにあたり、自社の資本コストを正確に理解することを明確に求めています。

Takashi Oguchi
大口 敬
パートナー
Chuo Sogo
大阪
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改訂された指針はさらに、資本、その他の経営資源を適切に配分していることについて開示することも求めています。これには、成長投資や事業ポートフォリオの見直しに関する説明が含まれます。これらの開示の目的は、会社がこの戦略、および計画において示した収益計画、基本的な資本政策、収益性、および資本効率に関する目標を、どのように達成しようとしているのかを示すことにあります。

加えて、取締役会は、経営資源が、適切なリスクテイクに該当し、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に資する形で配分されているかどうかを、継続的に検証することが期待されています。

これには、現金、および預金等の金融資産が、有形資産その他の経営資源とともに、成長投資のために効果的に活用されているかどうかも含まれます。

総じて、2026年の改訂は、取締役会自体が中長期の成長投資と株主還元とのバランスについて説明することが期待されるガバナンスの枠組みを構築しています。これは、資本効率と成長戦略を一体として説明することを求めてきた海外投資家の従来からの期待に応えるものです。

社外取締役の役割をさらに強化

2026年改訂のコーポレートガバナンスの指針は、独立社外取締役の役割について、その実効性の向上に特に焦点を当てて、さらなる強化しています。独立社外取締役が果たすべき役割、および責任、当該取締役の質と人数の双方を確保する重要性、ならびに独立性を維持する重要性が強調されています。

また、取締役会を支えるうえで重要な役割を担うことを踏まえ、コーポレート・セクレタリアット(取締役会事務局)の機能を強化するように企業に促しています。さらに、支配株主を有するプライム市場上場会社(TSEの最上位市場区分)については、取締役会の少なくとも過半数を、支配株主から独立した独立社外取締役で構成することが求められます。

この要件は、少数株主の保護を強化しつつ、日本のコーポレートガバナンスの枠組みを主要な海外市場のコーポレートガバナンスの枠組みにより近づけようとする取組みとして位置付けられます。

株主総会前の有価証券報告書

日本の法制上、上場会社は各事業年度の終了後、3ヶ月以内に有価証券報告書を提出しなければなりません。有価証券報告書は、金融商品取引法に基づき求められる法定開示書類です。同報告書には、主な事業の概要、財務実績、リスク要因、役員、主要株主、コーポレート・ガバナンス、監査済み財務諸表などの情報が含まれます。

日本では、定時株主総会が6月に集中して開催される傾向が強く、とりわけ3月決算の会社で顕著になります。この独特の市場慣行により、会社がステークホルダーに対して適時に開示を行うことが難しくなり、その結果、多くの会社では、従来、定時株主総会の後に有価証券報告書を提出することが一般的でした。

しかし、2025年3月に、金融担当大臣は上場会社に対し、株主総会の数日前までに、または少なくとも株主総会前日までに、有価証券報告書を提出することを検討するよう要請しました。

その結果、2025年3月に期末を迎える会社のうち57.7%が、株主総会前に有価証券報告書を開示しました。これは、2024年3月期の1.5%から大幅な増加です。

もっとも、この進展にもかかわらず、2025年3月に期末を迎える会社の多くは、株主総会直前、すなわち株主総会前日に「間に合わせる」形で有価証券報告書を提出したにとどまりました。このような直前の開示が、株主や投資家にとって本当に有用なのかという点については、疑問が提起されています。

2026年におこなわれたコーポレートガバナンスの指針改訂では、株主総会前の有価証券報告書の開示が一般原則として位置づけられました。これは、株主が株主総会においてより効果的に権利行使できる環境を整えるための、より広範な取組みの一環です。改訂コードでは、会社は株主総会日の少なくとも三週間前までに開示することも検討すべきである旨も示されています。

この改訂により、株主総会前の開示をコード上の一般原則として明確に位置づけ、さらに具体的な期間を検討事項として示したことで、会社が株主総会直前に形式的な開示を行うにとどまらず、株主が内容を実質的に精査できるだけの時間的余裕をもって有価証券報告書を開示することが促されると見込まれます。

内部通報は企業のリスク管理を強化します

近年、日本における内部通報制度は、法令違反や不正行為を早期に把握するためのリスク検知メカニズムとして、ますます重要な役割を果たしています。

その結果、内部通報制度は、単なるコンプライアンス上の措置としてではなく、取締役会が監督すべき会社の内部統制、およびリスク管理の枠組みの不可欠な一部として位置づけられるようになっています。

公益通報者保護法の下では、一定規模以上の事業者は内部通報制度を整備することが求められます。

さらに、2026年12月1日に施行予定の同法改正により、制度の実効性確保が一層重視されます。改正内容の一つとして、従業員300人超の事業者が、内部通報対応業務従事者の指定義務に関する勧告に従わない場合、所管行政機関が命令を発する権限を有することになります。この命令に違反した場合、刑事罰として罰金が科される可能性があります。

コーポレートガバナンスの指針でも、上場会社に対して適切な内部通報制度の整備を求めるとともに、取締役会が当該制度の運用を監督することも求めています。今回の改訂は、内部通報制度に対する指針の基本的な考え方を大きく変更するものではありませんが、従来から補充原則に定められていた事項をもう一度精査して、ガイドラインなどに組み込むように進めていきます。

それによって、指針はより原則主義的な構造を採用することになります。これらの改訂は、会社が形式的な制度整備にとどまらず、自社の状況に照らして内部通報制度を実効的に運用することが期待されていることを示唆しています。

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台湾のガバナンス改革が持続可能な価値を促進

台湾のコーポレート・ガバナンス制度は、会社法、証券取引法ならびに金融監督管理委員会、台湾証券取引所(TWSE)および台北取引所(TPEx)が発出する規則や通達・解釈等から成る重層的な枠組みに基づいています。

これらの要件がどの程度適用されるかは、会社のステータス、すなわち非上場(私会社)か、公開会社(パブリック・カンパニー)か、またはTWSE/TPEx上場会社かによって大きく異なります。非上場会社は、主として会社法、およびその一般的なコンプライアンス要件に従って株主総会、取締役会、監察人ならびに取締役の義務に関する規定などが含まれます。公開会社には、これらと同様の規定に加えて、取締役会の手続き、内部統制および開示に関する追加要件が課されます。さらに、TWSE/TPEx上場会社は最も厳格な制度の対象となり、ESG評価、サステナビリティ報告・開示、投資家とのエンゲージメントおよび取締役会の説明責任にまで及びます。

この最上位の制度が広範に及ぶのは、規制上の優先順位がより広い観点で変化していることを反映しています。近年、台湾における政策の焦点は、取締役会の組織、株主総会手続および開示の遵守といった従来の関心事項から、ESG、持続可能な発展、情報の透明性および長期的な企業価値へと移ってきています。この変化は会社法にも依拠するところがあります。会社法第1条は2018年に改正されて、会社に対して法令、および企業倫理の遵守を求めるだけでなく、企業の社会的責任を推進するために公共の利益を促進する行為を行うことを明示的に認めました。もっとも、この規定は、社会や全てのステークホルダーに対して別個の受託者責任を課すものではなく、取締役会が受託者責任を履行するに当たり、公共の利益、企業倫理および社会的責任を考慮するための法的根拠を与えるものです。

取締役会の受託者責任がサステナビリティを推進します

Lihuei Mao
Lihuei Mao
パートナー
Lee and Li
台北
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会社法の下では、会社の責任者(取締役および監察人を含みます)は、会社の事業運営において受託者責任を誠実に履行しなければなりません。これには、とりわけ、善良な管理者の注意義務を尽くすこと、ならびに自己または第三者の利益を追求するのではなく会社の最善の利益のために行動することが含まれます。ガバナンスおよびサステナビリティに関する規律が進展する中で、取締役会には、サステナビリティ・リスク、企業倫理、ステークホルダーの利益および長期的価値を、監督および事業上の意思決定においてますます考慮することが求められています。
台湾の非上場会社にとって、サステナビリティ・ガバナンスは、一般的に義務的なESG報告や資本市場向けの開示という形をとりません。むしろ、労働、環境、税務、個人データ、消費者保護その他各種法令の一般的な遵守に加え、日常の事業運営において、倫理、公共の利益、レピュテーション・リスクおよび社会的責任を任意に考慮することにより反映されます。

公開会社および上場会社については、期待される水準はさらに高いものです。公開会社は、会社手続および内部統制を規律する特定の規則を遵守しなければなりません。上場会社には、サステナビリティの潮流、その潮流が中核事業に与える関連性、ならびに利害関係者に対する事業運営上の影響を反映したサステナビリティ方針、制度又は管理指針および具体的な行動計画を採用することにより、さらに踏み込んだ対応が求められます。これらの方針および計画は取締役会の承認を得た上で、株主総会に報告されることとされている。取締役は、その立場として、実施の推進、結果の検証および継続的改善の追求、利害関係者の利益のバランス、サステナビリティを業務運営および戦略に組み込むこと、ならびに適時かつ正確な開示の確保が期待されます。これを支えるため、上場会社には、サステナビリティ・ガバナンス枠組みの構築、専任又は兼任の担当部署(例えばESG委員会)の設置、および取締役会への定期的な報告が推奨されます。

つまり持続可能な発展は、制度化された取締役会による監督、リスクの特定および管理、専任部署および機能別委員会、開示の質、ならびに利害関係者とのコミュニケーションを通じて実現されるのです。さらなる指針は、「TWSE/TPEx上場会社のための持続可能な発展ベスト・プラクティス原則」および「TWSE/TPEx上場会社のためのコーポレート・ガバナンスベスト・プラクティス原則」に示されています。

ESG評価と開示の進化

Derrick Yang
Derrick Yang
パートナー
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外部評価およびサステナビリティ開示は、サステナビリティをコーポレート・ガバナンスおよび資本市場の監督に統合するための不可欠な手段となっています。

コーポレート・ガバナンス評価からESG評価へ。2014年、台湾は、すべてのTWSEおよびTPEx上場会社を対象とする市場ベースの評価メカニズムとして「コーポレート・ガバナンス評価」を導入し、コーポレート・ガバナンス改革ロードマップの重要な一部を形成しました。同評価は、取締役会の実効性の向上、株主権の保護、情報透明性の改善およびコーポレート・ガバナンス全般の強化を企業に促す政策手段として機能してきています。

2026年、コーポレート・ガバナンス評価は「ESG評価」に名称変更され、ガバナンスにとどまらず環境および社会の側面を包含する拡大された範囲を反映しています。その指標には、環境管理、人権デュー・ディリジェンス、投資家とのエンゲージメント、従業員の権利、ファミリー・フレンドリーな職場施策、サステナビリティ・ガバナンスおよび取締役会の説明責任が含まれています。

Judy Lo
Judy Lo
アソシエイト・パートナー
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台北
Tel: +886 2 2763 8000 (ext. 2509)
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サステナビリティ報告。開示義務も同様の軌跡で拡大している。2025年から、すべてのTWSE/TPEx上場会社は、重要な経済・環境・人に関連するトピックおよび影響、ESGリスク評価ならびにパフォーマンス指標を開示する年次サステナビリティ報告書を作成し、提出しなければならなくなりました。また、報告書は、概括的な記述にとどまらず、サステナビリティ方針が実際の業務運営においてどのように実施されているかを説明しなければなりません。2026事業年度から、TWSE/TPEx上場会社は、払込資本に応じて段階的にIFRSサステナビリティ開示基準を適用し、年次報告書の専用章においてサステナビリティ関連の財務情報を開示しなければならない。これにより、サステナビリティ情報は財務報告により近接し、気候およびサステナビリティ関連のリスクに関する情報、ガバナンス、戦略、指標および目標が投資家にとって重要であることが認識されます。

非上場会社は、一般にサステナビリティ報告の義務の対象ではありません。しかし、ESGの重要性が増すにつれ、サプライチェーン要請、金融機関の期待、または環境その他の規制により、多くの企業がESG管理の実務又は制度を採用する必要に迫られる場合があります。2025年に導入された会社法第387条の1は、すべての会社に対し、登記後に労働権に関する研修を修了することを義務付けています。この要件は、ESGの社会およびコンプライアンスの柱が、最低限のコンプライアンスおよび労働権意識にまで及ぶ形で、私企業にも拡大していることを示すものです。

台湾のガバナンス改革はESGを統合

近年の法改正、および規制政策は、台湾のコーポレート・ガバナンス改革が、独立取締役、機能別委員会、および手続遵守を超えて進化してきたことを示しています。ガバナンス枠組みはより統合的となり、環境責任、労働権、情報の質、および利害関係者の利益が、企業の運営および評価のされ方に直接影響するようになっていることは明らかです。ガバナンスは、手続への準拠のみならず、企業のサステナビリティ実務の実質および開示の信頼性によって、ますます評価されるようになっています。

台湾で事業を設立し、または台湾に投資する投資家、および事業者は適用される義務が依然として会社類型および市場における地位に大きく左右される一方で、その地位にかかわらず、サステナビリティおよびステークホルダーに関する考慮が任意のベストプラクティスから基本的な期待へと移行しつつある点に留意すべきです。これらの基準が今後も一層厳格化していく中で、ESG原則を基本的なガバナンス要素として組み込む企業が、最も成長しやすい立場にあります。

Lee and Li, Attorneys-at-LawLEE AND LI ATTORNEYS-AT-LAW
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タイにおける効果的なコーポレート・ガバナンスを通じたリスク管理

タイにおいてコーポレート・ガバナンスは新しい概念ではありません。これらの原則は、各種のタイの法律、規制およびガイドライン(例:タイ証券取引委員会が上場会社向けに発行するコーポレート・ガバナンスの指針)に組み込まれています。

しかし、企業が環境・社会・ガバナンス(ESG)の枠組みの中で事業を行い、その原則を実務に落とし込む重要性が高まるにつれ、企業が自社のコーポレート・ガバナンス方針および実務を見直し、タイの法令・規制のみならず国際的な規範にも整合していることを確保することに、改めて注目が集まっています。

これは、グローバル・サプライチェーンの一部として川上または川下で事業を行う企業にとって、特に重要となり得ます。現在の世界経済は不安定な状態であるため、企業は潜在的な事業中断を緩和するべく、強固なコーポレート・ガバナンス体制を整備しておく必要があります。

本稿では、コーポレート・ガバナンスに直接関係するESGの「G」側面に触れるだけでなく、ガバナンスと社会課題は相互に関連することが多いことから、「S」側面も同様に不可欠となり得る点についても検討します。

ガバナンスにおける部門間のギャップを埋めること

Nam-Ake Lekfuangfu
Nam-Ake Lekfuangfu
パートナー
Baker McKenzie
バンコク
Tel: +66 26662824 (ext. 2048)
Email: nam-ake.lekfuangfu@bakermckenzie.com

企業は通常、複数の部門またはグループから構成されており、コーポレート・ガバナンス枠組みの特定の側面を監督する責任を負うグループ同士が、互いに連携していない可能性があります。たとえば、製品やサービスを調達したり、第三者の請負業者を起用したりする際に、業務部門、調達部門、法務/コンプライアンス部門および財務部門が、取引の異なる要素をそれぞれ検討している場合があります。

適切な仕組み(関連する方針および手続を含みます)が不足していると、統制および監督プロセスにギャップが生じ得ます。こうしたギャップは、企業にとって体系的な問題につながり得ます。たとえば、筆者らは、調達プロセスにおける不正や利益相反の事案を多数見てきました。これらの問題は、企業のコーポレート・ガバナンス体制が不十分であることにより生じる場合が少なくありません。

セクシュアル・ハラスメント防止を機能横断で統合すること

別の例として、セクシュアル・ハラスメント防止措置が挙げられます。セクシュアル・ハラスメントは、近時の主要法令(刑法を含みます)の改正により、タイにおいてさらに厳しい注目を集めている分野です。これらの改正には、セクシュアル・ハラスメントを具体的に取り扱う規定が含まれています。これは、世界的な潮流とも整合していると言えるでしょう。

タイでは、従業員がセクシュアル・ハラスメントに関する懸念を提起する頻度が高まっています。ESGの「S」側面におけるこれらの動向を踏まえると、企業は従業員を保護するため、セクシュアル・ハラスメントの防止に関する措置を整備しなければなりません。

もっとも、これらの措置は、人事部門が他の社内機能と連携し、セクシュアル・ハラスメント防止措置を他のコーポレート・ガバナンス体制に統合してこそ有効になります。これを怠ると、防止措置が形骸化し、企業が法的、規制上または評判上のリスクにさらされるおそれがあります。

トップの姿勢がガバナンスを左右します

Theeranit Pongpanarat
Theeranit Pongpanarat
パートナー
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バンコク
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いかなる企業においても、効果的なコーポレート・ガバナンス・プログラムを構築する第一歩は、明確な「トップの姿勢」を確立することです。取締役会を含む経営陣は、良好なコーポレート・ガバナンスへのコミットメントを、言葉だけでなく行動でも示さなければなりません。これは、コーポレート・ガバナンス要件を満たすために、適切かつ十分なリソース、投資および計画を提供することを意味します。

また、経営陣は、コーポレート・ガバナンスをあらゆる意思決定プロセスの中核に据える企業文化を形成し、育み、保護する責任を負います。さらに、コーポレート・ガバナンスの観点から企業に影響し得る問題を認識した場合に従業員が声を上げられるよう促すことも重要です。こうした文化の保護は、従業員が秘密裏に懸念を報告できる仕組みを整備するとともに、善意で報告を行った従業員を保護し、報復を防止するための強固なメカニズムを設けることにより実現できます。

そして、企業のコーポレート・ガバナンス文化を十分に実装するため、経営陣および従業員に対し、適切な指針、体制および枠組みを提供する方針および手続を策定すべきです。

企業が策定し実施すべき方針および手続きは企業ごとに異なり、最終的には事業内容およびリスク・プロファイルにも左右され得ます。したがって、運用上の課題とそれに関連するリスクを特定するために、社内レビューを実施する必要がある場合があります。

最低限、企業は、すべての企業が直面する主要なリスクに対応する方針および手続の導入を検討すべきです。たとえば、以下に関する方針および手続です。調達プロセス、財務/会計上の統制(資産使用の統制を含みます)、人事管理、ならびに主要な法務、規制またはコンプライアンス上の問題(贈収賄防止またはマネー・ローンダリング防止措置に関する問題、利益相反、競合他社との相互作用、職場における差別またはハラスメントに対する保護など)です。

Praween Chantanakomes
Praween Chantanakomes
シニア・アソシエイト
Baker McKenzie
バンコク
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Email: praween.chantanakomes@bakermckenzie.com

企業の方針および手続きの適用対象は、社内のステークホルダーに限定されず、外部当事者とのやり取りにも用いられ得ます。その必要性は、第三者との具体的な関与の態様および当該第三者が企業の事業運営にもたらし得るリスクに基づきます。対象は、サプライヤー、請負業者、ビジネス・パートナー、顧客その他の第三者にまで及び得ます。企業が関与する第三者についても、必要に応じて適切なデュー・ディリジェンス・プロセスの対象とすべきです。コーポレート・ガバナンスの観点からこれが重要となり得る例として、ベンダーまたはサプライヤーの起用が挙げられます。企業は、信頼できる相手方であり、かつ企業との間に利益相反が存在しない相手方と関係を構築していることを確保したいと考えるためです。

「S」側面に関連する別の例として、人権課題(強制労働に関するものを含みます)に対処するための予防的措置として、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)を活用する傾向が強まっています。タイでは、現時点で企業にHRDDの実施義務を課す特別法は存在しませんが、事業慣行が倫理的であり、人権その他の法的義務に違反しないことを確保するため、外部当事者からHRDDの実施を求められている企業もあります。

方針および手続きは、実務として運用されなければ十分とはいえません。企業は、適切なチャネルを通じて、関連するすべてのステークホルダー(社内および社外)に対し、これらの方針および手続が容易に入手可能となるようにすべきです。

こうしたステークホルダー・エンゲージメント(とりわけ従業員向け)における重要な実施手段の一つは、研修プログラムの整備であり、オンライン資料と対面セッションを組み合わせることも考えられます。タイで事業を行う企業にとって、タイ語による対面セッションを実施することは、研修を提供し、従業員が質問や助言を求める機会を確保するうえで、最も効果的な方法の一つとなり得ます。

最後に、企業のコーポレート・ガバナンス体制は固定されたものではなく、各事業の性質に応じて進化すべきものです。したがって、企業は、直面し得る変化に対応するため、コーポレート・ガバナンス体制の有効性を継続的にモニタリングすることが求められます。これには、企業慣行を見直すために、内部監査または外部監査を活用することも含まれ得ます。

コーポレートガバナンスは、方針を実行に落とし込む

最終的に、コーポレートガバナンスは、単なる方針の集合やコンプライアンス要件としてではなく、リスク低減とコンプライアンス対応を実務に確実に反映させるための運用上の枠組みとして捉えるべきです。強固なコーポレートガバナンス体制とは、責任の所在を明確にし、各機能の役割と責任を連携させ、日々の意思決定に統制を組み込み、方針が適切に実施され有効性を維持しているかを経営陣が監督できるようにするものです。

また、コーポレートガバナンスは、企業がリスクを早期に特定し、一貫した対応を行い、法令、規制および倫理基準の遵守に対するコミットメントが、実効性があり、測定可能で、持続可能であることを示すための仕組みとなります。

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