外資系企業におけるインドのコーポレート・ガバナンス

    By Rupinder Malik・Divyaanshi Chandra / JSA Advocates & Solicitors
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    インドで事業を行う企業にとって、コーポレート・ガバナンスは引き続き中心的なテーマです。主要なテクノロジー・プラットフォームにおけるガバナンスや内部統制上の懸念、多国籍企業の地方拠点におけるコンプライアンスの不備、大手銀行の独立取締役が提起した懸念など、注目度の高い事案が相次ぎ、世論および規制当局の監視が続いています。

    ガバナンス不全の帰結は、法的リスクにとどまらず、投資家の信頼や長期的な企業価値に影響する財務面、業務面および評判面の問題にも及びます。コーポレート・ガバナンスは、もはや単なる手続的義務として捉えられていません。説明責任、リスク管理、透明性、および実効的な監督のための、より広範な枠組みを構成するものとなっています。

    この背景のもと、インド特有の規制環境と進化するコンプライアンス要件を踏まえると、同国のコーポレート・ガバナンスの状況を適切に把握し運用することは、依然として難しいものです。特に、インドで子会社を通じて事業を行う外資系企業には難易度が高いものだといえます。インドで持続可能な強靭なガバナンス体制を構築するためには、これらの実務上の留意点を理解することが重要となります。

    インドのコーポレート・ガバナンス規制枠組み

    Rupinder Malik
    Rupinder Malik
    パートナー
    JSA Advocates & Solicitors
    Email: rupinder.malik@jsalaw.com

    2013年会社法(Companies Act, 2013)は、対応する規則および適用される実務規範とあわせて、インドのコーポレート・ガバナンス枠組みの中核を構成します。同法は、会社の設立、管理および運営を規律し、取締役会の構成、権限および義務、株主の権利、開示、監査ならびに財務記録の管理に関する要件を定めています。

    また、上場会社はインド証券取引委員会(SEBI)による規制を受け、特に2015年SEBI規則(上場義務および開示要件)によって、強化されたガバナンス要件が課されています。これらの要件は、上場する外国親会社の非上場子会社に対しても、近年ますます重要性を増しています。

    さらに、外資が入る会社は、インド準備銀行の規制の下にある1999年外国為替管理法の規定にも従う必要があります。事業内容によっては、保険会社に対するインド保険規制開発庁(IRDAI)規則など、業種別の規制枠組みの適用を受ける場合もあります。

    これらの法令は、適用される労働法、環境法および運用関連法令などとあわせて、会社法で定められる要件を上回るガバナンス上の義務を課すものです。

    会社法は、取締役会を企業の意思決定の中心に位置付けています。そのため各会社は、法定の最低取締役数(非公開会社は2名)を置かなければならず、少なくとも1名は居住要件を満たす必要があります。また、一定の会社は少なくとも1名の女性取締役を選任しなければなりません。取締役会は毎年少なくとも4回開催し、連続する会議の間隔は120日を超えてはなりません。

    取締役会は、財務諸表の承認、取締役報告書の作成、適用される法令要件への遵守確保など、さまざまな機能について連帯して責任を負います。

    Divyaanshi Chandra
    Divyaanshi Chandra
    プリンシパル・アソシエイト
    JSA Advocates & Solicitors
    Email:
    divyaanshi.chandra@jsalaw.com

    取締役は、個別の法定義務および受託者的義務も負います。取締役は、会計年度中に少なくとも1回は取締役会に出席することが求められ、これを満たさない場合には、その地位が欠員となる可能性があります。会社法は、取締役に対し、善意で会社の最善の利益のために行動すること、相当な注意、技能および勤勉性をもって職務を遂行すること、ならびに利益相反を回避することを求める受託者的義務を定めています。

    会社法はさらに、「違反責任を負う役員」(officer in default)の概念を取り入れ、責任の判断、および帰属を定めています。通常、執行取締役(すなわち、会社の日常的な経営に関与する取締役)およびCEO、CFO、マネージング・ディレクターなどの主要経営陣が、違反責任を負う役員とみなされます。非執行取締役および独立取締役は、限定的な状況において責任を問われる可能性があります。具体的には、違反が本人の認識、同意、または相当の注意をもって行動しなかったことにより発生した場合などです。

    ガバナンス枠組みには、株主による監督を通じた牽制機能も組み込まれています。定款の目的条項の変更、授権資本の増加、所定の閾値を超える関連当事者取引(RPT)など、一定の重要事項については株主の承認が必要です。RPTの枠組みは最も厳しく注視される分野の一つであり、外資系企業において特に慎重な対応が求められます。加えて、国家会社法審判所(NCLT)は、少数株主に対し、抑圧行為、経営不適切、および集団訴訟に関する法定救済を提供しており、少数株主に実効的な救済手段を与えています。

    透明性、説明責任および強固な内部統制を促進するため、会社法は、会社の状況を真実かつ公正に表示する帳簿、および財務諸表の維持、一定の会社に対する監査委員会やCSR委員会などの委員会設置、ならびに規制当局への定期的な報告を求める枠組みを定めています。

    法定監査人は、このガバナンス枠組みの中で重要な役割を担い、会社の状況を独立して精査することが求められます。また監査人は、会社、その役員または従業員により行われたと疑われる不正を発見した場合、金額に応じて、社内または中央政府に対して報告する法定義務も負います。

    課題と対応策

    インドのコーポレート・ガバナンスの状況は複雑であるため、外国投資家は、コンプライアンスを確保するにあたり、構造面および運用面の課題に直面することが少なくありません。主要なガバナンス上の課題と、それに対応するための実務的な指針を以下で説明します。

    インドのコンプライアンス環境を過小評価すること。インドは、本来コンプライアンス負担が大きく、中央および州レベルの複数の法律と規制当局にまたがる義務が課されます。たとえば会社法では、平均して毎月の法定届出が求められます。労働法や間接税法も同様の要件を課しています。日常的なグループ内取引(貸付、保証、投資)であっても、承認、開示または報告が必要となる場合があります。そのため、会社は継続的に発生するコンプライアンス義務のサイクルを監視し、管理する必要があります。

    さらに、頻繁な規制変更によって状況は一層複雑になります。会社法は2013年の制定以降、複数回の改正が行われており、現在も定期的に改正されています。これに基づく規則も頻繁に見直され、企業省が発出する通達や通知が、コンプライアンス上の要件をさらに積み重ねています。外国投資家は、こうした変更に追随し、現地事業への影響を評価することが難しいと感じることが多いです。

    画一的な対応。多国籍企業グループは、コンプライアンス基準の一貫性を確保するため、グローバルなガバナンス枠組みを各子会社に適用することが少なくありません。しかし、インドにおいて画一的な対応が有効とは限りません。同国特有の法規制環境を踏まえると、グローバル方針は、法的観点と実務的観点の双方から、現地化または補完が必要になります。

    たとえば、グローバルな倫理規程が、贈答や接待に関する金額基準を、インド法や一般的な市場慣行よりも高く設定している場合があります。同様に、公務員の定義はインドの汚職防止法制ではより広く、公共的職務を担う民間部門の人員にも及ぶ可能性があります。

    また、遠くにある本社による中央集権的な意思決定は、コンプライアンス文化が十分に成熟していない中小都市で事業を行う場合、現地の運用や新たなリスクについての可視性が不十分となる結果を招き得ます。

    取締役の義務およびリスクの見誤り。外国投資家は、特に非居住者がインド会社の取締役に就任する場合、取締役として負う義務、責任および潜在的な責任リスクの範囲を過小評価しがちです。現地チームが日々の運営を担っていたとしても、取締役は、前述の各種の法定責任および受託者責任を負う義務があります。状況によっては、会社の違反に関して、特に取締役が十分な注意を尽くさなかった場合に、取締役が責任を問われる可能性があります。

    これに関連する実務上の留意点として、会社の取締役・役員を対象とするグローバルなD&O保険が、インドの法定制裁金を十分にカバーしない場合があります。インドの法定制裁金の多くは準刑事的性質を有するためです。会社は、インドにおけるリスクに照らしてD&O補償内容を具体的に確認するべきです。

    さらに、開示に関する実務上の留意点もあります。取締役は、各種の会社・規制目的のため(例:居住住所、連絡先電話番号、他の事業体における利害関係)に情報提供を求められ、一定の情報は少額の手数料で公に閲覧可能となり得ます。2018年会社法(実質的支配者規則)も、多層的な外国持株構造について複雑な申告義務を課しています。外国人取締役や投資家は、こうした開示要件の広範さに驚くことが多いです。

    インドのコーポレート・ガバナンス枠組みは複雑に見えるかもしれませんが、課題の多くは、予防的な計画と現地での関与によって効果的に管理できます。主な施策は、(1)当初段階で包括的な規制マッピングを実施し、会社の業種、構造および投資ルートに固有の適用法令、規制当局および届出義務を特定すること、(2)グローバルなガバナンス方針をインド法に整合させるよう現地化すること、(3)担当者とエスカレーション期限を明確にしたコンプライアンス・カレンダーを設定すること、(4)インド法上の義務および個人責任リスクに関する取締役会レベルの定期研修を実施すること、(5)実効的な内部通報およびホイッスルブローアー制度を整備すること、などです。

    同様に重要なのは、経験豊富な現地弁護士を早期に起用することです。特に、会社設立、対内直接投資のストラクチャリング、および規制業種への展開の局面では、インドの法的要件を踏まえてガバナンス枠組みが設計されるよう確保する必要があります。定期的なガバナンス監査および秘書役監査(一定の会社では義務付けられています)は、コンプライアンス上の不備を予防的に特定し、是正するのに役立ちます。

    インドにおける外資系会社にとって、強固なガバナンスはもはや単なるコンプライアンス要件ではなく、持続的成長を支え、取締役レベルの責任リスクから守り、ステークホルダーの信頼を維持し、長期的な価値創出を後押しする戦略的な必須要素となっているのです。

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