インドの人工知能(AI)分野のスタートアップが、日本の文学作品、技術文書、ニュース記事などの多言語データセットを学習させた大規模言語モデル(LLM)を開発し、インドと日本で展開するという場面を考えてみてください。
そのようなLLMの学習は適法なのでしょうか。日本に関していえば、答えは明確です。日本の著作権法は、AI学習のためのテキスト・データマイニング(TDM)を権利者の許諾なく認めています。
しかし、インド法の下では、その法的な位置づけは依然として不明確です。1957年インド著作権法には、そのような適用除外はありません。この相違は、根底にある非対称性の表れであり、二国間に重大な影響をもたらします。法的な不明確さは、二国間の技術投資を抑制し、両法域における権利者、開発者、政策担当者に影響を及ぼします。
インドと日本が包括的経済連携協定(CEPA)の下で技術同盟を結んでいるにもかかわらず、この懸念に対処する二国間の対話は行われていません。
インドと日本のAI制度の比較

パートナー
Kochhar & Co
日本は、AI学習のための著作権の枠組みとして、世界でも最も先進的な部類に入るものを採用しています。注目すべきは、日本の著作権法第30条の4が、商用・非商用を問わず、権利者の許諾なく、情報解析や機械学習のために著作物を複製することを認めている点です。
しかし、この規定は無条件ではありません。「著作権者の利益を不当に害することとなる」利用は除外されます。したがって、文学作品で学習したLLMは、情報のパターンを適法に抽出できる一方で、その表現上の特徴を実質的に再現する出力を生成することはできません。
これは、AIイノベーションには法的安定性が不可欠であるという、明確な立法意図の表れです。
日本とは対照的に、インドの著作権法第52条は著作権侵害に対する法定例外を限定列挙しており、裁判所は、明文で列挙されたものを超えて新たな例外を認めることはできません。
AI学習はこれらの例外に含まれていないため、インド著作権法の下では、その適法性は不明確なままです。
この立法上の空白は法的な曖昧さを生み、開発者が不明確な司法解釈に依拠できないことから、AI学習に対する事実上の阻害要因として機能します。

アソシエイト
Kochhar & Co
もっとも、インド法の進化は、デリー高等裁判所によるANI Media v OpenAI事件の最近の画期的な暫定判断に表れています。同裁判所は、通信社に対する差止めを認めず、LLMの学習のために著作物を保存することが、研究目的としてインドの著作権法第52条(1)(a)の「フェア・ディーリングの例外」の範囲に含まれ得るとの一応の判断を示しました。侵害が成立するのは、元の著作物が実質的に再現される場合に限られます。
したがって、この暫定的な判断は有益な司法上の示唆を与えるものの、生成AIに対する第52条の適用を終局的に解決するものではありません。
この判断によって一定の明確さは得られたものの、法定の例外がない以上、第30条の4に基づく明示的な例外を有する日本と、司法解釈に依存するインドとの間の非対称性は、国境を越えたAI開発にとっての不明確さを生む状態が続いています。
インドには固有のTDM明確化が必要
日本の第30条の4をそのまま引き写すのではなく、インドは、自国の法的・経済的文脈に適合する目的に即したTDM例外を採用すべきです。日本モデルは、著作権の例外をイノベーション政策の手段として位置づけつつ、情報の抽出と表現の再現とを区別することがいかに有効かを示しています。
インドの枠組みは、多様な創作経済、商用AI学習、透明性に関する義務、国際的な著作権上の義務も考慮すべきです。慎重に調整された法定の例外は、イノベーションと創作者の権利の均衡を図りながら、法的安定性をもたらします。
インドが不明確な著作権の枠組みへの依存を続けることは、もはや持続可能ではありません。インドの著作権の状況に沿って調整されたTDM例外は、法的な不明確さを低減し、AI投資を呼び込み、インド・日本の技術パートナーシップを強化し、著作権保護を維持しつつイノベーションを促進します。
ここでの教訓は、日本の法律をそのまま引き写すことではなく、AIがもたらす技術変化に対処するにあたり、日本の立法上の明確さを見習うことにあります。
Amit Panigrah氏はKochhar & Coのパートナー、Ishikaa Seth氏はアソシエイトです。

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